この欄では英語圏の主要紙の報道を素材に、日本語の報道ではあまり得られない中東に関する情報や視点を示すことが多いが、もちろん、英語圏の主要紙は万能ではない。英語圏の報道は歴史的に勢力圏としてきた中東やアフリカには強いが、日本あるいは東アジアについての報道では必ずしも卓越しているとは限らず、日本の政治や社会についての最低限必要な理解を欠いた報道がしばしば見られる。

 あまりに顕著な事例があったので、記録しておこう。11月18日に南スーダンへ出発した陸上自衛隊の部隊が、いわゆる日本で議論されるところの「駆けつけ警護」の任務を与えられたことに関する、英紙『インディペンデント』の11月22日付の記事である。

"Japan deploys troops overseas for first time since World War II," Independent, 22 November, 2016.

 「日本が第二次世界大戦以後初めて海外に部隊を展開する」というタイトルであるが、もちろん大間違いである。国際平和協力法・PKO法(1992年)、テロ対策特措法(2001年)、イラク復興特措法(2003年)などに基づいた自衛隊の海外展開の歴史を全く知らない記者が書いているのだろう。

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