今日は、ある大学のゼミが企画して行っている映画祭で、企画の学生たちからの依頼を受けて、近年のイスラーム主義過激派のジハードにまつわる映画を見て、トークを行ってきた。

 下調べや、実際に映画を見て読み取った内容をメモにしてあるのだが、トークでは時間も短かったため話しきれなかった。どうやらフォーサイトの読者の方々も来ていただいていたらしいので、場所を変えてこの欄に記しておこう。

映画『ティンブクトゥ』

 映画は「禁じられた歌声」(原題はTimbuktu)アブデッラフマーン・シーサーコー(Abderrahmane Sissako)監督、2014年、フランス・モーリタニア製作。2012年から13年にかけてのマリ北部紛争を背景にして、ティンブクトゥを舞台にした映画である。

 昨年の暮れに日本でも公開されていたようで、私もいくつか中東研究者政治学者・映画評論家の評を目にした覚えがあるが、むしろそれらを読んでしまったために、かえって通り一遍の過激派批判の映画を予想し、つい見逃してしまっていた。

「トークを依頼された機会に一度見てみてもいいか」と軽い気持ちで引き受けたのだが、実際に見てみると、これが実によくできていた。

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