「沖縄宮古島海峡上空を飛行中の中国軍機6機に対して、緊急発進した空自戦闘機2機が妨害弾を発射した」と中国が非難したのが12月10日。これに対して防衛省は11日、内閣官房は12日にこれを否定、「妨害弾」は赤外線フレア(チャフフレア)であるとも報じられている(時事・ロイター)。
 別の報道では、作家の百田尚樹氏がツイッターで「政府が何らかの手を打たないと、防御しかできない空自パイロットを見殺しにすることになる」と警鐘を鳴らし、「チャフフレアは、相手のミサイル追尾をかわす手段として使用されたのであって、これが事実ならば、中国戦闘機は攻撃ギリギリの行為をしたことになる」と指摘していると伝えた(産経新聞、12月11日)。

「九死に一生を得た」可能性も

「チャフフレア」とは何か。ミサイルが戦闘機に向かって発射され追尾した際、戦闘機の警戒装置がミサイルの赤外線ホーミングを探知することでチャフレアが作動し、撹乱して追尾を外す防御機能のことである。したがって、チャフフレアの作動が事実であれば、想像でしかないが、空自パイロットは「九死に一生を得た」のかもしれない。
 中国軍機が攻撃を仕掛けなければ、チャフフレアを用いることは無い。これまでも、織田邦男元空将は、「東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動―中国機のミサイル攻撃を避けようと、自衛隊機が自己防御装置作動―」(2016.6.28『JB Press』)と指摘していた。
 
 中国は、先んじて「日本が妨害弾を発射した」と発表したが、「防御装置」を「攻撃弾」に「すり替えた」発言は、中国側の軍事常識上の無知と、「原因を作為した」悪意を国際社会にさらけ出したようなものである。しかし中国の場合、その裏の挑発意図を読まなければならない。 

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