トルコと西欧が火花を散らしていた、難民合意でトルコが担う役務の代償として約束されたトルコ人のEUビザなし渡航の実施についての交渉は、なおも続くようだ。

2016年3月18日に結ばれたトルコとEUの難民合意は、EUが掲げてきた人権理念の美名の「裏側」を曝け出すものであると同時に、難民を自在に欧州に向けて「放流」できる立場のトルコの優位性を明らかにした。

西欧がトルコの対テロ政策やギュレン派など野党の弾圧について批判を行い、難民合意に付随するビザなし渡航などのトルコへの代償を出し渋ると、トルコはエルドアン大統領始め要人が非難の演説を行い、難民合意そのものの破棄や、難民を大規模に送りつけることを匂わせて圧力をかける、という一連の動きが繰り返されてきた。

しかし相互に相互を必要としてもいるので、ほとぼりが冷めるとやはり合意に立ち戻り、個々の項目について交渉を再開するというのが、これまた常である。

トルコ外務省の高官が、匿名で、西欧に対してビザなし渡航実現に関する交渉の日程の再設定案を示した、と明かした。ビザなし渡航が実現するにせよしないにせよ、交渉は続き、双方に得たいものを得ようとし続けるのだろう。

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