イラク・バグダードでは2016年の大晦日には、自動車部品を多く扱うシナーク(al-Sinak)市場への連続自爆テロで28人が殺害され、年改まって2017年1月2日にはサドル・シティーの交差点の群衆を標的にした自爆テロで35名が殺害された。いずれもシーア派の多い場所を狙った「イスラーム国」の犯行と見られる。

1月1日には、ペルシア湾岸のバーレーンではシーア派の政治犯を多く収容したジャウウ(Jaww; Jau)刑務所武装集団が襲撃し、警官を殺害して10名の囚人を脱走させたことが明らかになった。

そして1月1日の未明、トルコ・イスタンブルではナイトクラブ「レイナ」で39名が殺害された乱射事件が起こっている。「イスラーム国」の犯行声明ではキリスト教徒による多神教の祝祭を攻撃して、十字軍の守り手であるトルコに打撃を与えたと誇っている。

中東政治、そして紛争は、クリスマスから新年にかけても休まない。

中東諸国ではイスラーム教やギリシア正教などがそれぞれ固有の暦を持っており、ローマ・カソリック教会の暦である西暦のクリスマスや大晦日・新年が重視されないため、通常モードで政治も行政も行われているということが一つの理由としてあるが、米国など欧米の超大国・大国が休暇に入って動きが鈍る時期を狙って諸勢力が動き出すという面もあるだろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。