「人口減少」と「経済成長」:地域研究の新しい使命
2017年1月10日
これから未曽有の人口減少に見舞われる日本について、「だからといって必ずしも経済成長率がマイナスになるわけではない」という意見が、エコノミストたちから度々発せられる。「労働人口、すなわち生産関数における労働インプットが年1%減ったとして、それがそのまま総生産を押し下げるわけではない。資本投入量や生産性の向上によってそのマイナス効果を相殺することは十分可能だ」という意見である。
説明変数と被説明変数の関係ではそうだろう。だが、長期的にもそんなことが言えるだろうか。50年もすれば日本の労働人口は半分になり、総人口は8000万人になるが、もしその間経済成長率をゼロに維持できたとすれば、人口が減った分日本の1人当たりGDP(国内総生産)は5割増しになる。100年たって総人口が3分の1になってもGDPが変わらなければ、1人当たりGDPは3倍になるわけだ。
人口が減れば減るほど平均所得が増えて豊かになるとは、真にありがたい話ではあるが、それほど継続的に生産性を向上させ続けることが可能だろうか。もし可能なら、どうして平成不況から脱却できないのか。先進国の最大産業はサービス業であるが、製造業のようには設備投資の効果が働かないサービス業において、労働生産性を上昇させるのは簡単ではない。
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