金がない! 仕事は増える、予算は減る

執筆者:平野克己2017年1月16日
国民を説得するのも政治家の務め(C)AFP=時事

 

 日本貿易振興機構(JETRO)にはこれでもかと仕事が降りてくる。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、新輸出大国コンソーシアム、対日投資促進、地方創生、農水産品輸出促進、加えて昨年末には対露経済関係強化も加わった。アフリカ関連では、TICAD VI(第6回アフリカ開発会議)で安倍晋三首相が約束した日本アフリカ官民経済フォーラムがあり、JETROが事務局を担うことになっている。

 仕事が入ってくるのはとてもいいことだ。プロジェクトが続々とつくられるのは政府が機能している証拠であり、それに応じて成果が出るのは、日本経済が政策に敏感に反応している証左である。

 しかし問題は金だ。新しい仕事が降りてくるときは政策経費の配賦が行われるが、それも年度が替わると、本体交付金を含めてガクンと減額される。日本政府はGDP(国内総生産)に倍する借金を背負い、それでも毎年多額の財政赤字を出血しながら国家予算を組んでいるわけだから、我々のような独立行政法人が厳しい予算制約を課せられるのは、まぁ仕方ない。

 予算が減らされれば人件費も増やせない。人員が限られているなかで仕事だけが積み上がっていくから、現場は労働強化になる。電通の轍は絶対踏めないので、いろいろ策を講じなければならない。日本社会がそうであるように職員の平均年齢は上がっているから、人件費は自動的に膨らむ。

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