ロシアとトルコの主導で昨年12月30日に結ばれた停戦合意で提唱されていた、カザフスタン・アスタナでのシリア和平会議が、1月23・24日に開かれた。

24日に声明が発表されたが、これは内戦の当事者による声明ではない。ロシアやトルコはアサド政権や反政府勢力などそれぞれの支援する勢力に合意声明への署名を呼びかけたが、結局内戦の直接の当事者は署名せず、その結果、ロシアとトルコ、イランという、内戦の諸当事者を見守り、それぞれに異なる勢力を支援する、シリアの外部の大国、すなわち関係する地域大国と域外大国の間の合意に関する声明が発出された。

今回の声明の基本特性を踏まえれば、この会議とそこで得られた「合意」が停戦や内戦終結をもたらすとは言えない。しかし内戦に関与する諸大国間の一部で協調がなされたことそのものには、国際政治の上での一定の意味がある。

サウジアラビアなど湾岸諸国は参加せず、米国はオブザーバー参加にとどまった。これに対して、米国が緊密に関与してきたNATO加盟国であるトルコがロシアやイランと共に会議を主催する形となり、反体制勢力の中でトルコに支援された勢力は参加した

トルコは昨年12月19日の駐トルコ・ロシア大使暗殺事件で進退極まり、一層ロシア寄りの姿勢を示さざるをえない立場にある。ここで中東に支配的な影響力を行使する超大国としての地位を誇示したロシア・プーチン大統領が一方的に得点を稼いだ会議だったと言える。

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