トランプ政権の誕生、そして選挙戦中のトランプの発言は多くが本気のものであり、大統領に就任して実行する意図があると認識されることで、各方面に及ぶ影響がいっそう深刻に受け止められている。

過去15年ほどの間に一気に台頭した湾岸アラブ産油国系の航空会社の将来にも、トランプ政権誕生によって暗雲が立ち込めている。

"The future of Gulf airlines during Trump’s presidency," Al-Arabiyya, 26 January, 2016.

エミレーツ航空(ドバイ・アラブ首長国連邦)、エティハド(アブダビ・アラブ首長国連邦)、カタール航空(カタール)は、旅客航空産業を大きく塗り替えた。産油国の指導層に集中した富をふんだんに投資して、イギリス人などの最先端の経営人材を雇い、最新のグローバル経営のマネージメント手法を用いて、各国の出稼ぎ労働者をパイロットから清掃人まで雇い入れて運行することで、急激に台頭したこれらの航空会社は、米国が推進したグローバルな航空自由化の恩恵を最も受けてきた。

米国が保護主義的になり、米系航空会社の利益を代弁して湾岸アラブ産油国系の進出を阻害することになれば、成長の階段がすでに見えていたこれらの新興航空会社にとって打撃だろう。

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