トランプ政権が成立して1カ月余りがたった。あまりにも波乱が多い1カ月だった。

トランプ政権の最初の1カ月を観察することは極めて大きな困難を伴うものだった。

困難の原因は、トランプ大統領本人の発言が短期間に揺れ動くことや、大統領本人と、行政経験の少ない最側近たち(スティーブ・バノン首席戦略官、辞任したマイケル・フリン国家安全保障問題担当大統領補佐官など)と、共和党の主流派から起用・任命された高官たち(マイク・ペンス副大統領、ジェフ・セッションズ司法長官など)、軍人から起用された高官(ジェームズ・マティス国防長官、ジョン・F・ケリー国土安全保障省長官、2月20日に新たに任命されたH・R・マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官など)のそれぞれが異なる立場で、異なる次元の方針や政策を抱えており、それらのいずれが、いかなる形で実際の政府の政策となるか、経路が未知数であったことだ。そしてそもそも高官のポストの多くが、議会承認以前に指名されてもいない。

さらに、官僚機構が大統領の型破りな大統領令による統治に対して、法・制度的に抵抗する。特に、FBIやCIAからは、トランプ大統領や最側近のフリン元補佐官などとロシアとの不明朗な関係を中心にした、組織の総意として大統領弾劾を目指しているのではないかとすら疑いたくなるような深刻な内容のリークがなされ、メディアがそれを用いて大統領に対して極めて敵対的に報じる。これによる最初の「犠牲者」がフリン補佐官だったが、トランプ大統領そのものがロシアとの不明朗な関係を追及されるに至る可能性もまだ消えていないと見た方がいいだろう。

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