トランプの「君子豹変」の数々

執筆者:池内恵2017年2月27日

トランプ大統領が、選挙期間中や当選後に、従来の米国の外交・安全保障政策を批判し、就任直後に自らの独自案に即座に大転換を行い、結果を短期間で出してみせる、と豪語していた課題について、かなり多くのものについては、政権発足後の混乱の中でトランプ大統領自身の発言がほとんど180度展開し、それなりに従来の路線の延長線上で収まりつつある。

中東政策に関しては、例えばイスラエルとパレスチナに関して、テルアビブに置いている米大使館をエルサレムに移す、という選挙公約を就任後早期に実施するという観測が高まったものの、直前に回避され、現状では無期限に棚上げされている。従来米国が推進してきた二国家解決案にこだわらないという姿勢をトランプは示していたものが、ネタニヤフ首相との会談の前後に、二国家解決も選択肢に入れ続ける姿勢に転じている。

中東・アフリカの7カ国の国籍保持者の入国拒否政策については、新たな大統領令を出すとしていたものが、当面棚上げとなっている。

「イスラーム国」についても、就任後30日以内に打倒する腹案がある、と選挙中には発言していたものが、現在まで特に目に見える政策の変化はなされていない。

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