決算発表の「延期」を会見で説明する綱川智社長

 

 東芝が経営危機に直面している。2015年春に発覚した不正会計問題で経営体制を一新、これから再建に本腰を入れるかに見えた2016年末になって、突然、米国の原子力事業で「数千億円」規模の損失が発生する事態が表面化。2月14日には、米原子力事業の「のれん」の減損額が7125億円に達することを公表した。ただし、その数字も「当社の責任において当社としての見通し及び見解を記述したもの」という前提付き。同日発表予定だった2016年第3四半期決算発表は延期となり、決算数値が確定できない異例の事態に陥っている。3月末には債務超過が避けられない見通しで、まさに存亡の危機だ。

本当に突然だったのか

 2月14日の記者会見直前、東芝の綱川智社長は、本社39階で社員向けメッセージを読み上げた。その様子は社内にテレビ中継され、速記録も配布された。そこで綱川社長はこんなことを言っている。

「ここで私が申し上げたいのは、本年度の業績問題は私を中心とする経営陣の舵取りにあって、決して皆さんが作り出す技術や品質が問題を起こしているわけではないので、自信を失わないで欲しい、ということです」

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