「4市議選」「千代田区長選」と「共謀罪」

執筆者:フォーサイト編集部2017年3月3日
記念提言を掲載した聖教新聞

 今年も創価学会の機関紙・聖教新聞が、1月26・27の両日にわたって池田大作創価学会インタナショナル(SGI)会長名義の「『SGIの日』記念提言」を掲載した。ブランケット版8ページ半にも及ぶ大論文で、今回は「希望の暁鐘 青年の大連帯」とのタイトルで難民問題や核廃絶、そして米・トランプ大統領誕生を受けて核軍縮の機運を高めるための米ロ首脳会談の早期実施などを提唱している。
 だが今年の1月2日で89歳を迎えた「超高齢者」目前の池田氏は、平成22年5月以来、大衆の前に姿を見せることも、昨夏の天皇陛下の肉声ビデオメッセージのような映像媒体を披露することもなく、健康状態の悪化が取りざたされて久しい。そんな池田氏に国際政治・世界情勢を分析しての大論文を執筆することがはたして可能なのか。ご本人がお書きになっていると本気で信じている人は、あまり多くはないだろう。

スタンスが分かれた「読売」と「朝毎」

 しかし日本の大手メディア、ことに朝日・毎日・読売をはじめとする新聞メディアは、公明党の創立者として政治的・社会的影響力をもつ池田氏の健康状態の真相について取材することはなく、むしろ毎年ベタ記事扱いではあるものの、池田氏が提言を発表したことを報道することで、池田氏は健在とする創価学会の主張を追認する役割を果たしてきた。
 今年も、「創価学会・池田氏が『提言』」(1月26日付・朝日)、「池田大作氏が平和提言」(同・毎日)などと、例年通りに池田氏が提言を発表したとのベタ記事を掲載したが、今年は読売が「創価学会が『平和提言』」との見出しで、提言発表の主体を池田氏ではなく創価学会であると報じたことで、足並みに乱れが生じた。
《公明党の支持母体の創価学会は、米露両国の首脳会談を早期に開催し、唯一の被爆国として、核軍縮を呼びかけることなどを求める『平和提言』をまとめた。池田大作名誉会長名で26日に発表する》(1月26日付・読売)
 池田氏の健在を内外にアピールすることを目的とする「『SGIの日』記念提言」の作成者を、創価学会と書いた読売。多くの新聞メディアが、自社系列の印刷所で公称550万部の日刊紙である聖教新聞や公明新聞の印刷を請け負うとともに、大量の広告宣伝費の前にひれ伏し、創価学会にとって不都合な事実は報じない中で、提言作成の“実態”に触れた読売の姿勢変更は、池田氏のXデーに向けた布石とも考えられ、今後、池田氏の健康状態の悪化が、皮肉なことに日本の新聞メディアに蔓延する創価学会タブーの突破口を開く契機となる可能性を垣間見せてくれた。

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