入国制限の新・大統領令の主要なポイント

執筆者:池内恵2017年3月9日

3月6日の米国の中東・アフリカ6カ国の国民の入国を制限する大統領令については、この欄で少しずつ、じっくりと考えていきたい。リベラル派が優勢な米国の主要メディアの論調では強く批判され、あたかもトランプ個人あるいはその側近の無知や偏見といった個人的資質の偏りに基づく、論外の政策として、嘲笑混じりに論評されがちだが、そう簡単に決め付けられないことも、米国政治や思想史を政争やイデオロギー闘争から一歩引いた地点からは見えてくる。

今回の大統領令が、1月27日に調印され、シアトル連邦裁判所と連邦控訴審によって執行を差し止められた前回のものと比べると、格段に理論武装を強め、法廷闘争で隙を突かれにくいものとなったことは確かだろう【1月27日の大統領令】【3月6日の大統領令】。

ニューヨーク・タイムズ紙は、通常の記事や論説では反トランプ色が鮮明であり、リベラル・メディアとの世界観闘争こそを自らの存在意義として見定めているらしいことが徐々に明らかになるトランプ政権との関係は、中立な観察者というよりは主要な政争の主たる当事者とすら言える。

しかし、今回の大統領令について事実を中心に分析的に比較対象した次の記事は参考になる。

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