フィオナ・ヒルの世界観

執筆者:池内恵2017年4月18日

トランプ政権の軸が、あらゆる意味で、ロシアであることは疑いを容れない。中東政策も、トランプ政権の米露関係に大きく左右される。何しろ大統領本人と、当初の最側近たち(フリン前大統領補佐官、バノン主席戦略官など)が、ことごとくといっていいほどロシアとの近すぎる関係が囁かれ、問題視されている。

そこから逆に、「ロシアとの内通」という疑惑を払拭するために、すなわちもっぱら国内政治状の関心と目的から、4月6日のシリア空爆も決断したのではないか、と一部で勘ぐられることになる。真相はわからない。

トランプ大統領や側近の「真意」や内心の目的が何であれ、ロシアと一定の緊張感ある対峙を政策として選択したならば、それを実現する具体的な方策を考える、その土台となる現状認識と分析を取りまとめるのは、政治任命の高官の次元である。

ここで大統領の副補佐官(deputy assistant to the president)でNSC(国家安全保障会議)の欧州ロシア上級部長(senior director for European and Russian Affairs)に任命されたフィオナ・ヒルが注目される。

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