3月7日、クアラルンプールで、規制線が張られた在マレーシア北朝鮮大使館を警備する警官 (C)AFP=時事

 マレーシアは2年ごとに防衛装備品の展示会(DSA=Defence Services Asia)を、首都クアラルンプールの近郊で開催している。第1回目は1988年で、すでに30年近い歴史を刻んでいる。最近でみると、前回の第15回DSA展示会(首都近郊のプトラジャヤで開催)は2016年4月18~21日に開催され、60カ国から1200社が出展。次回は来年2018年4月16~19日に予定されており、70カ国からやはり1200社の出展と4万2000人の来場者が見込まれている。前々回2014年の実績を見ると、出展1057社、来場者数は3万3544人であり、来年の予想規模を考えると、武器の展示会DSAは着実に規模を拡大していることが窺える。 

マレーシアの展示ブースの一角で……

 マレーシア国内からはナジブ首相を筆頭に、副首相、国防相、各州の王室関係者や州知事が参加し、マレーシア国内のセレブが一堂に会する一大イベントとなっている。海外からは有力企業の幹部が顔を並べて、トップ・セールスを展開する。武器メーカーが展示ブースを設け、屋外では軍事訓練のパフォーマンスも行われ、屋内の特設スタジオでは有名人や有力者による講演会が連日行われるなど、来場者を飽きさせない工夫も施されている。
 北朝鮮もDSA展示会で軍事用通信機器などを出品して、熱心に販売してきたのだが、不思議なことに参加国のリストに北朝鮮の国名はない。なぜかと言えば、マレーシア企業の展示ブースの一角に、特設コーナーを設けて軍事用通信機器を販売していたからだ。海外のバイヤーからみれば、当然の事ながらマレーシアの企業に見えるわけで、警戒感を持たずに商談へ飛び込める。この軍事用通信機器を販売していたのが、北朝鮮企業のグローコム社(Glocom)であった。国連安全保障理事会が北朝鮮への経済制裁を調査した内部レポートを、ロイター通信が入手して報道したことで、その詳細が明らかになった

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