2月末から3月初頭にシリア北部情勢が急激に展開し、トルコとクルド勢力の間に米軍とロシア・アサド政権軍が「二重の楔」のように割って入り、そこに米露トルコの3参謀総長会談が3月6日に行われることで、ある種の均衡に達しようとしている様子がある。

これはトランプ政権の中枢の意思をどの程度反映しているのだろうか、というのが気になるところである。

というのは、トランプ政権をめぐるワシントンの政争では、ロシアとの深すぎる関係が最大の課題となっているからであり、政争の過程や、その結末によっては、ロシアとのシリア内戦における協調が困難になる可能性もある。

トランプ大統領と政権高官のロシアとの関係を巡って、米露双方の諜報機関のリークが様々なメディアを通して行われ、次々に政治問題化している。それに対してトランプ大統領本人が、オバマ大統領が諜報機関にトランプの盗聴を命じたといった主張をツイッターで行なって激越に反応するという、奇想天外な様相を呈している。トランプ大統領とその側近に対する疑惑は、大統領の弾劾にもつながりかねないものだが、そこにロシア側からは、ウィキリークスによる米諜報機関のハッキング手法の暴露といった、あたかもトランプ大統領に加勢するかのような情報工作が継続的に仕掛けてられてくることで、一層複雑になっている。

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