今年2月、フロリダでの日米首脳会談。この時核攻撃ボタンを含む「フットボール」は無造作に扱われていた (c)AFP=時事

 米国では通常、核兵器使用権限は大統領命令で実行され得る形式になっているが、トランプ大統領就任直後の今年1月24日、大統領の核先制使用を制限する法案が米上下両院に提出されていたことが分かった。

 提案者の1人、エドワード・マーキー上院議員は法案提出にあたって、「核戦争は人間の生存に最も危険なリスクをもたらすが、トランプ大統領はテロ組織に対して核攻撃を検討すると示唆している」と強調した。このため法案では、議会の同意なしにトランプ大統領が核兵器を使用することを認めない、と定めている。

 核戦争発生までの時間を示す米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」の「終末時計」は既に、この64年間で最短の「2分30秒前」を表示。東アジアが北朝鮮の核・ミサイル開発で最も危険視されているだけに、法案の行方が注目される。

 他方、核軍備増強を目指すトランプ大統領は、就任1週間後に署名した「国家安全保障大統領メモ1号(NSPM1)」で、マティス国防長官に対して新しい「核体制見直し(NPR)」文書を作成し、同時にミサイル防衛の強化策を検討するよう命じている。

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