若き大統領候補として急浮上してきたマクロン前経済相 (c)AFP=時事

 筆者は1980年代からすべてのフランス大統領選挙と主だった選挙を現地で視察してきたが、今回の大統領選挙はその行方が読めない。

 いつもだと、そろそろ2人の候補者に絞られて政策対立の構図がはっきりし始めるころだが、今回は3月下旬に入って有力5候補のテレビ討論会がようやく行われたほどだった。

混迷続く選挙戦

 台風の目となってフランス政界を翻弄しているのは、単独で30%近くの支持率を誇る極右・国民戦線(FN)党首のマリーヌ・ルペン候補。彼女がトップで第2回投票に進出する可能性が高まっている。

 保守派は、昨年11月の予備選挙では有力候補がFNの勢いに押されて右に左に揺れ、結局フランソワ・フィヨン候補に落ち着いた。ところが、今度はフィヨン候補が公金横領疑惑のスキャンダルに振り回された。一方社会党と左派は、オランド大統領の不人気に加え、お家芸の内部紛争で分裂しかけている。

 第1回投票まであと3週間となり、各候補は海外県を含めて全国津々浦々まで行脚の日々だ。中でもルペン候補はロシアを訪問し、プーチン大統領と1時間半に及ぶ議論を行った。2014年にFNはロシアから900万ユーロ(10億7700万円)の融資を受けたといわれているが、今回はどんな密約が交わされたのか、メディアの関心は高い。

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