ティラーソン国務長官の「株上昇」

執筆者:池内恵2017年4月17日

4月6日にトランプ大統領が急転直下で実施したシリア問題をめぐって、一時米露間に火花が散ったものの、4月11−12日のティラーソン国務長官の訪露を界に、急速に沈静化した。ラブロフ外相との連日の長時間の交渉の他、会わないとされていたプーチン大統領も会談に応じた。米露対立への恐怖心を煽る欧米の報道と対象的に、ロシア側は好意的に伝えた。

ティラーソン国務長官は、シリア・アサド政権による化学兵器使用を断定し、ロシアの監督責任を問い、ロシアが事前に知っていた可能性すら匂わせつつも断定を控えた。アサド政権の退陣を求めつつ、米国が武力による政権転覆は行わないことを明言して、ロシア側の容認できる線まで実質上は譲歩する。この路線で、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター国家安全保障問題大統領補佐官が一致してきており、ティラーソンの発言の信頼性が増している。

このあたりから、米メディアも、これまであたかもトランプ政権で蚊帳の外に置かれているかのように報じてきたティラーソン国務長官について、「実は政権の実力者?」と見直す論調に転じている。

"Tillerson's stock rises in the White House," Politico, April 15, 2017.

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