「ロシアが西エルサレムをイスラエルの首都として承認?」

この謎めいたニュースが、世界を駆け巡った。タイミングがいっそう謎を深めた。ロシア外務省から声明が出されたのは4月6日。4月4日に起きたとみられるシリア・ハーン・シャイフーンでのアサド政権によることが濃厚に疑われる化学兵器を用いた攻撃の映像が拡散し、米国時間の6日にトランプ政権が電撃的な政策転換でアサド政権の軍用基地に空爆を行うまでの急激に情勢が転換する最中に、ロシア外務省がウェブサイトにこのような声明を出していたのである。

今でもこの声明の意味への共通の理解はない。今後の解明が待たれる。ロシア政府からのイスラエルやアメリカへの形を変えたメッセージであるかもしれず、観測気球で実際には実行しない選択肢なのかもしれない。だからこそ、プーチン大統領やラブロフ外相の個人の名を冠した発言ではなく、ロシア外務省の声明として、静かにウェブサイト上に発出されたのかもしれない。

アサド政権の化学兵器使用疑惑をめぐって、情報・心理戦が最高潮に達し、言葉の上では米国への非難を強めていた時だからこそ、意表をついた「親イスラエル姿勢」の表明で、撹乱を図った、あるいは裏での取引を持ちかけるメッセージを送ったのかもしれない、と憶測が憶測を呼んでいる。

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