PKOの理念と権力について考える

執筆者:池内恵2017年4月21日

先ほど陸自南スーダンPKO撤収の件について考えていたことをメモしたのだけれども、この問題について最も参考になり、考えさせてくれたのは、国際政治学者の篠田英朗さんのブログでした。平和構築は「理念」と「制度」については多くの学者が論文を書き、発言してくれるのだけれども、それらを支える権力(パワー)の問題は不可欠で、現状ではそれが米国であることが事実であって(ロシアなどは、部分的な批判者、スポイラー、フリーライダーにはなるが担い手にならないことが多い)、そこをまったく無視する、あるいは米国に理想的な行動を求める(そうでないときはもっぱら失敗の原因を米国に帰す)のみの議論は、そもそも平和構築を進めるという目的から逸脱していく結果になりかねない。理念と制度を熟知しつつ、現場の感覚と、パワーの相互関係、権力中枢の認識と判断まで多面的に考えていく過程をこのブログは垣間見させてくれる。

「自衛隊の南スーダンからの撤収について」2017年03月10日

ここで「しかしUNMISS(国連南スーダン共和国ミッション)は、1万5千人以上の要員が、困難な任務のために派遣されて献身的に勤務し続けている巨大ミッションだ。1万2千人以上の軍事・警察要員だけを見ても、60か国以上から集まっている。彼らは今後も困難な状況の中で任務を遂行し続ける。350人の自衛隊員が、「道路を造り終えた」という理由でいち早く撤収してくるのを、手放しで喜ぶという気持ちにはなれない。少なくともとても外国人に見せられるような姿ではない。
しかし、私も日本人の端くれである。これが日本社会のぎりぎりの落としどころだ、ということが、わからないわけではない。残念だが、仕方がない。これが日本だ。」

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