シリア爆撃で微妙に変化する中露関係(昨年の中国・杭州G20サミットで握手しする両首脳)(C)EPA=時事

 

 安倍晋三首相は4月27、28日と訪露してプーチン大統領と会談し、昨年12月のプーチン訪日に続く平和条約締結問題や2国間関係の協議を行う。首相は9月初めにもウラジオストクで首脳会談を行うが、プーチン大統領の次の訪日は少なくとも来年3月の大統領選まではありそうもない。一方で、大統領は今年2度訪中し、計5回習近平国家主席と会談する予定だ。4月6日の米軍によるシリアのアサド政権軍基地への巡航ミサイル攻撃で米露関係改善の見通しは消え、ロシアは再び向中一辺倒路線に転換する動きもある。米露関係の悪化が安倍首相の対露外交を妨害しそうだ。

今年は5回開かれる「中露首脳会談」

 ロシアのデニソフ駐中国大使は最近北京で会見し、プーチン大統領が5月の北京での「一帯一路」サミットに出席するほか、9月に中国で開かれるBRICS首脳会議に出席すると述べた。習近平主席も夏にロシアを公式訪問し、北部のアルハンゲリスクで開かれるロシア主催の「北極フォーラム」にも出席する。中国首脳がロシア北極圏を訪れるのは初めて。このほか、ベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、カザフスタンでの上海協力会議(SCO)首脳会議でも会談するとし、「年5回の首脳会談は、両国の前例のない緊密な関係を象徴する」と強調した。
 同大使は「コメルサント」紙(3月6日)との会見で、「最近は日露関係改善が注目され、中露関係への関心が低い」との質問に対し、「中露関係の発展は主観的な価値に基づくもので、日露関係よりダイナミックに発展している。日露関係の発展は客観的な要因に基づく」と述べ、次元が違うことを強調した。プーチン大統領自身、訪日前の読売新聞との会見で、「中国とは真に友好的な関係が形成された。多くの主要な分野で、誇張なしに戦略的な性格をもった関係が築かれた。これを特権的な戦略性といっている」と述べ、日露関係とはレベルが違うことを指摘していた。
 大使によれば、今年も夏に合同海軍演習が南シナ海で行われるほか、定例の首相会談がロシアで開かれ、中ソ友好協会創設60周年の関連行事が行われるなど、友好行事が目白押しという。 

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