サウジの給付削減政策は半年で撤回

執筆者:池内恵2017年4月25日

やはり、という感がある。

4月23日、サウジアラビアが、公務員や大臣などへの賞与・給付を積み増すことを発表した。

これは昨年9月26日に発表された、大臣の給与や公務員への賞与・給付などを削減する財政削減政策を、半年あまりでかなりの部分撤回することを意味する。

原油価格が上昇に転じ、財政赤字削減の見通しが立ったのか、それともバラマキをやめては政治社会不安、あるいはそこまでいかなくとも、深刻な士気の低下を招きかねないとの判断によるものか。あるいは、サウジ政府が説明するように、内需喚起のための施策なのか。

真相は分からないが、客観的にみて、サウジがサルマーン国王の現政権がムハンマド副皇太子を旗頭に掲げる経済改革は、給付というインセンティブを減らしながら、これまでになく働くことをサウジ国民に求めるものであり、そう簡単にうまくいくはずはない。

試行錯誤の一環と、とりあえずは見ておくしかない。

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