ジブチに行ってきた。日本の自衛隊の唯一の海外拠点があるジブチだが、観光でも仕事でも、行く機会がある人はあまりいないのではないか。先日は『中東協力センターニュース』に、各種の地図も交えて、ジブチの地政学的重要性を記した紀行文を寄稿したことを紹介したが、もっと細かいところを、五月雨式にこの欄でつぶやいてみようと思う。

まず、ジブチにはどの航空会社で行けばいいのか。ジブチはフランスの植民地だった。公用語もフランス語(とアラビア語)である。だったらエールフランスで行けばいいのかと普通は思うだろう。私も実際に渡航する準備を始めるまではそう思っていた。

ところが実際に予約を取ろうとすると、エールフランスは週に1便しかジブチに飛んでいない。フランスはジブチに陸・海・空軍基地を大規模に維持しているが、一般市民が商用や観光で頻繁に訪れることはもうほとんどないということが分かる。

それではどこの国が航空路線を多く持っているのか。エチオピア航空が1日2便、トルコ航空が毎日1便である。

東アフリカの経済成長の中心はエチオピアだが、内陸国であり、ジブチ港を唯一の海港とする。長い独立戦争の末エリトリアとの関係が悪く、ソマリアは内戦が続くため、唯一安定したジブチに海運を頼っている。大型トレーラーがアジスアベバからジブチの港まで砂漠・土漠を何日もかけて横断し、物資の運輸を行う。アジスアベバとジブチの間に最も多くの航空路線があるのは理解できる。ケニア航空もナイロビからジブチ直行便は週3便程度で、それ以外にはアジスアベバ経由でジブチ便を就航させている。最も需要が大きいのはここだろう。

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