トルコはソマリアへの関与を深める

執筆者:池内恵2017年4月29日

エチオピア航空とトルコ航空がジブチへの主要な路線となっていることを昨日記したが、隣国でジブチの港を不可欠とするエチオピアは当然として、近隣国でもなく、ジブチとは違ってアラブ連盟の加盟国でもないトルコがなぜジブチに、と思う人は多いだろう。これはトルコの中東の地域大国としての大きさを実感していればそれほど驚くことではない。トルコ航空の近年の目覚しい路線拡張で、イスタンブルをハブにして、中東や東欧、そしてアフリカの隅々まで路線を張り巡らせており、これらの地域のグローバル経済とのつながりにトルコは主要なインフラを提供する国となっている。

トルコはモガディシオに大使館を維持している数少ない国である。ソマリア軍の訓練など、ソマリア内戦終結に向けて主要な関与国として存在感を増している【トルコのエルドアン政権に近いシンクタンクSETAによる報告書】。

ソマリア・モガディシオ便はトルコ航空にとって、「よそができないことをやる」ことを示す象徴的な路線となっている。ソマリアへの関与はトルコのナショナリズム感情を満足させるものでもあるようだ。

ソマリアの飢餓に対して、支援物資をトルコ航空で送る運動が盛り上がったが、その際にトルコ人の「セレブ」たちがツイッター上で#TurkishAirlinesHelpSomaliaというハッシュタグを流行らせた。トルコ航空もこれを機内誌の表紙にあしらって拡散に協力している。

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