ここのところ続けてジブチを視座にして、トルコのこの地域への関与の動向も視野に入れながら、紅海の南部から「アフリカの角」や東アフリカについて記してきたが、ここで一休みして、ちょっと目先を変え、イギリスの建築雑誌に載っていた、トルコとシリアの国境の壁についての記事と写真でも紹介しよう。

"Turkey completes first phase of 900km wall along Syrian border," Dezeen, 25 April, 2017.

全長911kmに及ぶ国境の壁の計画のうち、556kmが完成しました、と綺麗な風景写真を使って紹介しているのだが、「建てる側」の視線で見ると、政治的な思惑や意味、背後の諸勢力の角逐、といった普段なら必然的に付随してくる厄介な話が漂白され、田舎ののどかな高原に最新工法で真新しい建築物ができたかのような、どこか幸せな雰囲気まで漂ってくる風景に見えてくるから、不思議である。

実際、紛争の現場は、のどかさと悲惨さが入り混じる世界なのだろう。

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