米中ともに確信犯的「為替操作国」か(C)EPA=時事

 

 果たして、本当に為替を操作している国はどこなのか――。

 4月14日、米国でトランプ大統領が誕生して初めての「為替報告書」が発表された。これは米財務省が年2回、連邦議会に提出する「米国の主要貿易相手国の外国為替政策に関する報告書」で、為替レートの意図的操作による自国通貨安への誘導で輸出競争力を高めようとする国をけん制することを狙ったものである。この報告書では、米貿易円滑化・貿易執行法をベースに、(1)巨額の対米貿易黒字(2)大幅な経常収支黒字(3)外国為替市場での持続的かつ一方的な介入、の3つの基準で評価し、当該国を「為替操作国」、あるいは「監視対象国」として認定する。

 今回、果たして米国が中国を為替操作国と認定するかが注目されていたが、結果は、為替操作国の認定は中国どころか1カ国もなく、中国、日本、ドイツ、韓国、スイス、台湾を監視対象国に認定しただけであった。

 具体的に見ると、3つの基準では、(1)の200億ドルを超える巨額の対米貿易黒字で中国、日本、ドイツ、韓国が該当。(2)のGDP(国内総生産)の3%を超える大幅な経常収支黒字で日本、ドイツ、韓国、スイス、台湾が該当。そして(3)の、1年間のネット(純額)の為替介入額がGDPの2%を超える、外国為替市場での持続的かつ一方的な介入では、スイスが該当した。

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