3月17日、秋田県男鹿市で行われたミサイル避難訓練 (c)時事

 

 こうした現在の状況では、北朝鮮の日本に対するミサイル攻撃も、「戦術レベル」では起こりにくいと言うことができる。日本への先制攻撃は国際法違反の侵略行為であり、かつ日米安保発動の要件となり、米軍の反撃、特にトランプ大統領に対し、北朝鮮に向けた核ミサイルのボタンを押す正当性を与えることになる。先に「北朝鮮は、日本にスカッドやノドンミサイルを撃ち込む理由がない」と述べたのはそのためだ。

 とは言え、ミサイルの脅威がこれで全て解消されるわけではない。なぜなら、「戦略」「戦術」以外でも、ミサイルが飛来する可能性があるからだ。

 すでによく知られているように、北朝鮮が核・ミサイル開発に執着するのは、これらを「戦略兵器」としてアメリカと直接交渉する、具体的には金正恩体制の保証を求めるためだ。そのためにはアメリカ本土まで届く核弾頭とICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発しなければならないのだが、今のところその目標が達成されたとは言い難く、開発途中の状態である。

 たとえば北朝鮮は、プルトニウムを使った核兵器を開発しているとされるが、これは「爆縮型」と言い、プルトニウムの核心を爆縮レンズで取り囲み、その外側でTNT火薬を爆発させ、一気に中心部にエネルギーを集中、核分裂させるというものだ。これはウランを使用するタイプよりも小型化でき、ICBMに搭載するにはうってつけなのだが、技術的に非常に難しい。

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