昨年9月、G20杭州サミット出席のため中国を訪れたタイのプラユット首相(左)と習近平主席 (c)EPA=時事

 

 昨秋以来、タイのプラユット政権が見せる中国への傾斜ぶりは、やはり尋常とは言えない。1973年10月の「学生革命」をキッカケに3年ほど続いた「タイの民主主義時代」に国交正常化を果たしてから現在まで、軍事政権・文民政権にかかわらず、ここまで中国寄りに振る舞う政権は見たことがない。

 3月、4月の2カ月間だけでも、シリントーン王女からプラユット首相夫人まで、タイ要人の訪中が続く。

「反タクシン」元副首相の中国詣で

 3月19日、アピシット民主党政権(2008~11年)を支えたステープ元副首相は北京、天津などを訪問し、20日に行われた中国共産党対外連絡部の鄭暁松副部長との会談の席で、中国が進めている「一帯一路」をタイは断固として支持する、と発言している。さらに帰国後の3月25日、自らの選挙地盤である南タイに創設した職業学校の落成式典において、中国政府・教育部からの支援を受け、中国から派遣された教師による語学・職業教育を進めるとの方針を明らかにした。

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