トランプ大統領「異例の初外遊先」選択の深層

執筆者:足立正彦2017年5月17日
支持率が低迷する中、まもなく初外遊に出発するトランプ大統領 (c)AFP=時事

 

 就任から間もなく4カ月を迎えようとしているドナルド・トランプ米大統領。歴代大統領と比較すると遅いが、いよいよ5月下旬に初外遊に出発する。ホワイトハウスの5月4日の発表『Statement from the Press Secretary on President Donald J. Trump’s Upcoming Foreign Travel』によれば、5月21日にサウジアラビア、22~23日はイスラエルとパレスチナ自治区を訪れ、24日にはバチカンでフランシスコ法王と移民・難民政策や気候変動対策について議論し、ローマではイタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領と会談する予定である。そして、5月25日にベルギー・ブリュッセルで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席し、26~27日にはイタリア・シチリア島での主要7カ国(G7)首脳会議に初出席して、国際社会での本格的な外交デビューを果たすことになる。

歴代大統領との違い

 ロナルド・レーガンから前任のバラク・オバマまで5人の歴代大統領を振り返ると、すべてが米国の近隣国であるカナダか、あるいはメキシコを初外遊先として選んできた。レーガン大統領は就任直前の1981年1月にメキシコを訪問し、就任後の初外遊先はカナダだった。ジョージ・H・W・ブッシュ大統領、ビル・クリントン大統領、オバマ大統領はそれぞれカナダを、また、スペイン語を話せたジョージ・W・ブッシュ大統領は、制度的革命党(PRI)から国民行動党(PAN)へと71年振りに政権交代を実現したメキシコを、初外遊先として訪れている。

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