連日お騒がせのトランプ大統領、紛糾する疑惑の報道が多すぎて、どの問題が重要で何が争点なのかが必ずしも定かでないが、FBIの捜査妨害の問題はかなり深刻かもしれない。

5月9日にトランプ大統領がコーミーFBI長官を突如解任したことで、トランプ大統領とその側近のロシアとの「内通」疑惑はさらに「炎上」しているが、ここでコーミー前長官が2月にトランプ大統領と一対一で話し合った際に大統領からフリン前補佐官に対する捜査を停止するよう求められたという趣旨のメモを残していることが報じられた。これは「司法(あるいは捜査)妨害(obstruction of justice)」の物的証拠となりかねず、失脚にもつながりかねない大問題となる可能性を秘めている。

昨日記したように、トランプ大統領がロシアのラブロフ外相に「イスラーム国」のラップトップ爆弾に関する機密情報を伝えたとされる問題は、たとえ官僚機構の内部での反発を招き、今後の同盟国からの情報提供の阻害といった問題を引き起こし、それに由来する、米大統領の信頼性(それがまだあるのであれば)の更なる低下や、米政府の諜報能力の低下といった帰結を招きかねないものの、トランプ本人もツイートで豪語しているように、ロシアとの外交・安全保障上の協力を深めるための、大統領の権限の範囲内だと強弁できるかもしれない。しかし「司法妨害」となれば、問題はより深刻になる。

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