米トランプ政権はシリアのクルド勢力PYD(クルド民主統一党)とその軍事部門YPG(人民防衛部隊)との連携を深めている。YPGを主体としたSDF(シリア民主軍)を支援して、「イスラーム国」勢力が支配するシリア東部ラッカの制圧を進めようとしている。

これに対してトルコが強く反発していることはよく知られている。トルコはPYD-YPGを、トルコのクルド反体制組織PKKと同一とみなし、「テロリスト」と認定して、米国がYPGを同盟勢力として用いることを批判し続けている。

米国はオバマ政権時代から、「YPGとPKKは別物」というタテマエを維持し、NATOの同盟国であるトルコと、対「イスラーム国」の戦闘で功績を上げてきたYPGとの同盟関係を両立させようと苦心してきた。しかしYPGを強く支援してラッカ攻略を進めなければならない今、トランプ政権は公然とYPGに武器を供与するという姿勢を明らかにした

訪米中のエルドアン大統領のトランプ政権との交渉は、在米の宗教団体指導者ギュレン師の送還とともに、YPGへの支援の差し止めが、二つの大きな課題となる。ただし、表面的な友好関係の確認はともかく、エルドアンがこの二点について実質的に得るものはほとんどないだろうというのが大方の見方である。

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