ホワイトハウスでのこのロシア・ラブロフ外相との会談の際、「ロシアゲート」疑惑のキーマンも招き入れていた(C)AFP=時事

 

 ニューヨークに住んで30年以上になるが、今ほど大統領の信頼が失墜したことはなかった。政治家は自らの言葉と判断でしか信頼を勝ち得ないが、今ほど大統領の資質と言語能力が問われたこともないだろう。彼には国家の機密を扱う能力があるのかという疑問の声すら上がっているほどだ。すべて、米連邦捜査局(FBI)ジェームズ・コミー長官解任後に始まった、トランプ政権の屋台骨を揺るがす新事態に次ぐ新事態の大展開のなかで起こっている。これはまた、行政府の長である大統領に対する司法(裁判所)と立法(連邦議会)の4つに組んだ戦いを目のあたりにするようである。

「キスリャク」こそキーパーソン

 コミー長官が解任された翌5月10日、ホワイトハウスの大統領執務室に招かれたのは、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相だった。コミー長官は、昨年の大統領選挙でロシア政府側とトランプ陣営が共謀して選挙を有利に進めたかどうかを捜査している最中に、突然、解任されたのである。その翌日にロシアの外相がトランプ大統領を訪ねたというタイミングに、わたしは強烈な違和感を覚えた。

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