サウジアラビア・バハレーン・UAEにエジプトが加わって、対カタールの断交(国交断絶・外交関係の切断)を行ったが、イエメンモルディブが今のところこれに追随している。いずれもさほどの影響はないが、近年のサウジ主導の「連合」の実態を示すものとして興味深い。

イエメンがカタールと断交、と言ってもこの場合は、国際的に承認されているハーディー大統領の政権がカタールとの断交を発表したということだろう。しかしフースィー派によって首都サヌアをはじめとした国土の主要部分の実効支配の権を奪われたハーディー政権が行う「断交」にいかなる意味があるかは不明だ。そもそも、サウジがハーディー政権を支援してフースィー派に対する軍事介入を行い、イランがフースィー派を支援しているとサウジが疑い、そのイランとカタールが通じていると非難しての断交であるから、ハーディー政権がサウジに追随するのは当然である。ハーディー政権はアデンを奪回して臨時政府を置いていることになっているが、大統領は多くの時間をサウジのリヤードで過ごしていると見られる。実質的な変化はなさそうだ。

一方、インド洋の孤島群のモルディブは、サウジとカタールの紛争に、一体どういう関係があるというのだろうか。モルディブには近年、サウジが大規模な投資を行っている。特に、今年1月にサウジが、26の島からなる群島ファアフ環礁(Faafu Atoll)に100億ドル規模の投資(これが賃貸ではなく購入ではないかと疑われている)を行うことが発表された後、住民の強制移住や環境破壊を恐れた反対運動が盛り上がり、モルディブ国内で政治問題化するだけでなく、国際問題化した。

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