対カタール断交を行う次の国は?

執筆者:池内恵2017年6月5日

サウジとカタールの紛議で、真っ先にサウジ側に追随を表明した国として、イエメンとモルディブについて記しておいたが、次にどのような国が同様の措置を表明するだろうか。おそらくソマリアやスーダン、コモロ諸島だろうか。

これは2016年1月にサウジとイランの関係が悪化した際の前例を参照している。この時にサウジに追随して、対イラン断交を表明した国々が、今回も旗幟鮮明にすることを迫られていると考えられるからだ。【この時の経緯については、筆者の論考でまとめてある

昨年1月3日に発表されたサウジの対イラン断交には、翌4日にバハレーンとスーダンが追随して断交。同日にUAEはイランとの外交関係を引き下げ、5日にクウェート、6日にカタールがそれぞれ駐イラン大使を召喚し、サウジへの追随姿勢を形だけでも示してみせた。GCCの中でもオマーンやクウェイトは断交も大使召喚も行わなかった。

地域の大国・有力国ではイラクやトルコが中立を保ち、仲介の意を示した。サウジに経済的に依存し、傭兵的な使われ方をしがちなパキスタンも中立を保った。

その際にサウジに全面的に追随した国として、アフリカの角からインド洋にかけてのの、アラブ連盟に名目的に加盟している国々があった。ジブチ(1月6日)、ソマリア(1月7日)、コモロ諸島(1月13日)がそれぞれ対イラン断交を発表した。しかし小国のジブチやコモロ諸島、イエメン同様に内戦で中央政府の実効支配がほとんど及んでいないソマリアなどの追随は対イラン圧力という意味ではほとんど意味がなく、それらの国が対サウジ関係を揺るがせたくないという意思を示したこと以上の効果はなかった。

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