テヘランのテロでサウジへの疑念が高まる

執筆者:池内恵2017年6月8日

テヘランの国会・ホメイニ廟同時テロで、「イスラーム国」のアゥマーク通信声明を出しているが、やはり疑いはサウジに向けられている。

イランの革命防衛隊は声明でサウジを名指しして容疑を向け、トランプ大統領との会合直後に「イスラーム国」が犯行を主張するテロが起きているとして、サウジと米国がやはりテロの支援者だ、と非難している。これはサウジと覇権競争を繰り広げるイランが一方的に主張する議論ではあるが、サウジと「イスラーム国」の近さは、薄々と多くが抱いている疑いである。米国についても、それがテロの黒幕だとする陰謀論はともかくとして、リチャード・ハースのような政策論者も、トランプ大統領がサウジによるカタールとの対決やイランとの対決を一方的に支持する姿勢を示したことが、サウジの軽率な行動につながらないか、とつぶやいている

ニューヨーク・タイムズロイターのまとめでは国会襲撃犯は4名、ホメイニ廟襲撃犯は2名だという(そのうち1名は女性だとも報じられている。ただし国会襲撃犯の一人は女装して警備をくぐり抜けようとしたとも言われる)。「イスラーム国」の公式声明では犯行グループは5名とのことである。人数の食い違いはどこから来るのか。女性がなんらかの理由で公式声明を発する勢力にとって数に入っていない可能性もある。犯人たちの身元が明らかになるか、どのように発表されるかに注目である。

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