6月7日のテヘランでのテロ(死者は17名に増えた)に関して「イスラーム国」が相次いで犯行声明を出しており、イランの捜査当局もこれを裏づける発表をしている。

これまで「イスラーム国」はイランでテロを行ったことはなかった。そもそもシーア派かつイラン人が主体のイランでリクリートすることは容易でないだろうが、侵入して単発のテロを行うことなら以前にもできたはずだ。なぜ以前はイランへのテロを行わなかったのか。

逆に今はなぜ可能になったか。

これらの疑問に、当座の答えを与えてくれるのが、『フォーリン・ポリシー』のウェブサイトに掲載された、ブルッキングス研究所のウィル・マッキャント研究員の論考である。

Will McCants, "What the Islamic State Wants in Attacking Iran," Foreign Policy, June 7, 2017.

背後には、「イスラーム国」の出身母体のアル=カーイダが、2001年の9.11事件以後に、米国のグローバルな対テロ戦争の追及を逃れるために、イランを避難先や補給ルートにしていたことがある。そのため、宗教教義上はシーア派を異端とみなすアル=カーイダも、イランへの攻撃は実際上の不都合から避けてきた。

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