2015年1月、パリ・ノートルダム寺院前で「私はシャルリ」のプラカードを持つ人々。彼らがマクロン大統領を支持した (c)AFP=時事

 

 G7シチリア・サミットで華々しく外交デビューを果たしたフランスの若き大統領エマニュエル・マクロン(39)。組閣では閣僚22名中半数を女性から起用するなど独自色も演出するが、重要閣僚は社会党や共和党など超党派で臨まねばならないという政権基盤の危うさもある。

 5月14日の就任からほぼ1カ月が経過した。今後の政権運営を占うフランス国民議会選挙は、6月11日の第1回目に続けて18日に、大統領選と同じく決選投票を迎える。マクロン大統領の独自与党「共和国前進」がどこまで議席を獲得できるのか。あるいは連立を組むとみられる社会党が議席を大幅に減らし、連立でも過半数を確保できないとなれば政権運営はさらに厳しい状況となる。

 この若き大統領の登場はフランスに、そして世界にどんな影響を及ぼすのか。新政権の課題と展望を含め、慶應義塾大学名誉教授でフランス文学・思想が専門の堀茂樹氏に聞いた(5月13日時点)。堀氏は1952年生まれ。アゴタ・クリストフ『悪童日記』など文学作品のほか、近年は歴史学者エマニュエル・トッドの著作を多く翻訳している。

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