宣誓したうえで証言したコミー前FBI長官(C)AFP=時事

 

 ドナルド・トランプ大統領は5月9日、ジェイムズ・コミー連邦捜査局(FBI)長官を更迭した。これがFBIによる捜査を阻止する目的だったのではないかとの憶測が広がり、2016年米国大統領選挙への介入をはじめとするトランプ政権中枢とロシアとの癒着に関する疑惑が、一挙に拡大することとなった。

 米司法省はこの疑惑に対する捜査を指揮する特別検察官に、コミー氏の前任者であったロバート・モラー元FBI長官を任命した。モラー特別検察官には必要に応じて起訴することもできる権限が付与されている。同時にFBI、米中央情報局(CIA)、米国家安全保障局(NSA)といったインテリジェンス機関はもちろん、米議会の上院情報特別委員会、下院情報特別委員会、下院司法委員会、下院監視行政改革委員会でも、トランプ政権とロシアの癒着疑惑についての調査が始まっている。

「司法妨害」か否か

 コミー氏が更迭されてから約1カ月後の6月8日、上院情報特別委員会(リチャード・バー委員長=共和党、ノースカロライナ州選出)の公聴会が開催され、コミー氏が証言を行った。

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