突如解任されたムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子(右)に話しかける、国王実子のムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子(新皇太子)(C)AFP=時事

 

早朝の王令発表

サウジアラビアで政変である。6月21日朝、サルマーン国王による勅令が続けざまに発出され、ムハンマド・ビン・ナーイフ(MbN)皇太子(副首相・内相を兼任)が皇太子及びすべての役職から解任され、サルマーン国王の実子のムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)副皇太子が皇太子に任命された。国王が甥の皇太子を解任して実子の副皇太子を昇格させた形である。

アブドッラー前国王時代に制度化された、次期国王を選出する主要王族会議ともいうべき「忠誠委員会」では、34名中31名がMbSの皇太子任命に賛成したという。逆にいえば全会一致ではなかったということである。

治安に関わるものを含めた、重要な役職の人事を入れ替える勅令が続いて発出されており、今回の政変が何を意味するのか全貌が明らかになるまでには少し時間がかかる。

サルマーン国王の年老いてから迎えた妻の子であるMbSは31歳にして、サウジアラビアの「第三世代」からの最初の国王となる一歩手前まで来た。しかし強引な継承がサウド王家と国家をかえって揺るがさないか、注視しておかなければならない。

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