閣僚「続々辞任」でマクロン政権に激震!

執筆者:渡邊啓貴2017年6月23日
この危機をどう乗り切れるか(C)AFP=時事

 

 6月21日、マクロン新政権とエドワール・フィリップ(首相)内閣に激震が走った。フランソワ・バイル法務大臣とマリエル・ド・サルネーズ欧州問題担当相が辞任の意思を明らかにしたのだ(同日発表された新内閣では、それぞれ法律学者ニコラ・ベルべ氏、外務省OB・国立行政学院ENA学長のナタリー・ロワゾ―氏が就任) 。これは19日のリシャール・フェラン国土整備相、20日のシルヴィ・グラール国防相の辞任に続いて(後任は左翼急進党ジャック・メザール氏と予算閣外相経験者・国鉄幹部のフロランス・パルリ氏)、合計4人の閣僚辞任劇となった。しかも、フェラン以外はいずれも中道派政党「MoDem(民主主義運動)」の重鎮だ。

 ここぞとばかり、保守派共和党ローラン・ヴォクイズ副党首は、「閣僚の4分の1がこけた。政府の危機だし、政治スキャンダルだ」とマクロン政権を痛罵した。マクロン政権とフィリップ政府は始動開始直後いきなり、危機を迎えた。

架空雇用疑惑をめぐる深淵と怨恨

 野党保守派としては、マクロン攻撃に力が入るのも無理はない。5月の大統領選挙が本格化していた1月下旬、最有力候補と目されていたフランソワ・フィヨン共和党大統領候補が、「家族架空雇用スキャンダル」で失墜したからである。フィヨンは本命候補であった。当時から、議員の架空雇用、とくに欧州議会議員の架空雇用は多くの議員に当てはまることが指摘されていた。そういうこともあってか、フィヨンは当初、事態をそれほど深刻視していない対応だった。それが火に油を注ぐ結果となり、フィヨンの失墜どころか大統領選も大敗北し、さらに保守政党は今回の6月の国民議会選挙で勢力を半減させるという憂き目を見ることになった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。