4月の習近平国家主席との首脳会談では、見事に「取引」を成立させた (C)AFP=時事

 

 トランプ政権が今年1月20日に始動してから5カ月以上が経過した。この間に内政、外交の両面で実に多くの展開があり、目まぐるしくあっという間に時間が過ぎ去ったという感がある。

 こうした中、ドナルド・トランプ大統領の政権運営スタイルについても、その特徴が明らかになってきたとの印象がある。筆者は5月下旬から6月初旬にかけてニューヨーク、ワシントンDCに滞在し、トランプ大統領の政権運営スタイルに関する評価について、元政府高官やシンクタンクなど米国政治の専門家らとの意見交換を重ねたが、彼らに共通していた認識は、「パーソナリティ志向(personality-driven)」、「取引型(transactional)」、「事案毎(case-by-case)」という表現であった。

対中政策の転換

 中国、台湾との関係でも、そうしたトランプ大統領のスタイルの特徴を見出すことができる。2016年大統領選挙キャンペーン中、トランプ候補は保護主義的立場を鮮明にしつつ、米国向けに輸出される中国製品に対して45%の高関税を課す方針を明らかにするとともに、中国を為替操作国に認定することを有権者に対して繰り返し訴えてきた。大統領選挙に勝利した後の政権移行プロセスでも同様の中国批判を繰り返し、対中貿易赤字削減の必要性や、中国の不公正貿易慣行への不満をツイッター上で書き込む一方で、米国製兵器を購入してきた台湾に対する親近感を示していた。

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