圧倒的支持で掃討作戦に打って出たドゥテルテ大統領だが、今後はテロ拡散の懸念も(C)EPA=時事

 

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の地元であるミンダナオ島で5月23日、約500名で編成されたIS(「イスラム国」)系武装集団が北西部の町マラウィ市を襲撃し、一時的にマラウィ市を占拠、市内の至る所にISのロゴマークが入った黒い旗が掲げられた。ドゥテルテ大統領はミンダナオ島全域に戒厳令を布告した。マラウィ市から海を渡って、北部方面へ250キロ先には、日本人観光客にも人気のリゾート地、セブ島がある。

中東以外で初のIS系都市占拠

 東南アジアにおいてテロリストが都市全体を標的にして襲撃し、しかも一時的にせよ都市を占拠した初のケースであるという点において、この事件が世界に与えた衝撃は大きい。フィリピン政府は約3000人で編成された軍と警察を投入したものの、1カ月を経過した6月23日になっても、テロ集団を制圧できず、マラウィ市を解放することはできなかった。フィリピン政府は当初、数日以内に制圧できると楽観し、遅くとも6月12日のフィリピン独立記念日までには終息させると意気込んでいた。長期化する戦闘によって、軍、警察、テロ集団、民間人合わせて約400人が死亡した。住民の大半は郊外へ脱出したものの、依然として100人~200人が自宅に取り残されている。

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