カタールをめぐるGCCの分裂は長期化・恒常化

執筆者:池内恵2017年7月24日

エルドアン大統領が7月23・24日にアラビア半島・ペルシア湾岸のGCC主要国を歴訪している。サウジ→クウェート→カタールという歴訪日程からは、サウジ・UAE主導の対カタール制裁の解除を目指す仲介外交と言っていいが、トルコ・エルドアン政権のムスリム同胞団との深い関係や、カタールに「用心棒」的な意味を持つ部隊派遣を行なっているといった事情から、トルコが中立的な仲介者とみなされる見通しは立たない。トルコに一定のレバレッジがあると言えば言えるものの、トルコがサウジやUAEの要求に応じてムスリム同胞団の活動家を追放し、カタールから部隊を撤退させるといった譲歩をするかというと、まず考えられない。これ以上の事態の悪化や統御不能の印象を与えることを抑えるという効果はあるだろう。

6月5日に発動されたサウジとUAEがエジプトがバーレーンと共に行った対カタール断交をはじめとする制裁措置は長期化し、いわば恒常化する見通しである。それは、6月23日にカタールに突きつけられた(カタールがリークして4カ国が否定しなかった)13項目の要求や、7月5日に改めて提示された6項目の要求がいずれも、カタールにとって主権放棄と言っていい内容のものであり、受け入れてなお体制を維持することは困難とみられるからだ。

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