UAEはエジプトやサウジアラビアと共に、カタールとその支援に部分的に頼るムスリム同胞団系諸勢力への攻勢を強めているが、パレスチナのガザを支配するハマースに対しては、かなり周到な工作を仕掛けているようだ。カタールに対して突きつけた13項目の要求では、ムスリム同胞団系と目されるあらゆる勢力に網をかけてその追放をカタールに求めたものの、なぜか肝心のハマースの名前を挙げていなかった。同時に、UAEアブダビが匿ってきたムハンマド・ダハラーン元治安長官をハマースと和解させ、ガザに帰還させる計画を進めている。

ダハラーンは米国やUAEに支援を受けた、ファタハ側のガザの指導者で、オスロ合意後のガザ地区の自治で治安部隊(Preventive Security Service)の司令官として実質的な最高権力者になり、台頭するハマースに対峙した。2007年7月のハマースとの衝突でガザを追われ、ヨルダン川西岸に移ったが、アッバース議長などファタハ中枢とも対立を深め、2011年6月には西岸を追われ、UAEアブダビに庇護されてきた。

ハマースの統治下にあるガザは、イスラエルとエジプトによる厳しい封鎖の下にあり、ヨルダン川西岸を掌握するファタハのパレスチナ自治政府からも圧迫が強まっている。

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