就任からわずか1年で辞任することになった岡部俊哉陸上幕僚長 (C)時事

 

 陸海空自衛隊には、それぞれの戦い方、装備によって個性的文化が育ち、それは国際的な共通認識でさえある。陸上自衛隊(以下「陸自」)は、歩兵を主力に陸上戦闘を専らとする特徴から、「用意周到動脈硬化」と言われる(2016年9月27日「南スーダン『駆けつけ警護』と陸上自衛隊の文化」参照)。

 陸自では、諸計画を「用意周到」に作成し、日々、毎時、毎分にいたるまで任務遂行に万全を期して、命令が末端の隊員まで厳しく徹底され、個人の勝手な判断と行動が戒められている。他方、緻密で用意周到な計画に基づく任務付与は、想定外の状況変化に遭遇した場合、「とっさの適応が苦手」という「動脈硬化」を起こし易い。

「専守防衛」から「集団的自衛権行使の容認」への安全保障政策転換(2014年7月)、さらに、PKO「駆けつけ警護」および「宿営地の共同防護」の実効化(2016年11月)が閣議決定されたが、政治は、「安全保障と戦争の本質・軍事力の役割」という文脈では未成熟なまま、部隊を南スーダンに派遣した。本政策転換後、初めてその任に就くことになった部隊は、「用意周到」な計画を作成し、事前の教育訓練を重ね、油断や誤りが起こらないよう練度の向上を図った。

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