6月19日、韓国・釜山の古里原発1号機の稼働停止に合わせた式典で演説する文在寅大統領 (C)EPA=時事

 

 韓国の「脱原発」宣言が波紋を広げている。東京電力福島第1原子力発電所(フクイチ)事故から6年半。欧州ではドイツ、イタリア、スイスなどが早々に原発縮小・撤退を表明していたのに続き、米国でもフクイチ事故による規制強化やシェールガス革命(発電コストの大幅低下)などの影響で閉鎖・廃炉に追い込まれる原発が続出。余波はアジアにも及び、昨年11月にベトナムが2000年代初めから打ち出していた2つの原発建設計画の撤回を発表し、今年1月には台湾の国会にあたる立法院が既存3原発の2025年までの廃炉を可決したばかりだ。

地震でも自動停止せず

 「原子力発電は開発途上国だった時期に選択したエネルギー。『脱原発』は逆らうことができない時代の流れだ」

 韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン、64)は6月19日、ソウルに次ぐ第2の都市、釜山市の郊外にある韓国最初の商業用原発「古里(コリ)1号機」(加圧水型軽水炉=PWR、出力58.7キロワット)の運転終了を記念した式典でこう演説した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。