新体制「GPIF」にガバナンスは効くか

執筆者:磯山友幸2017年8月21日
権限は弱まるが、改革の実をどうあげられるか、その手腕に注目が集まっている(高橋則広GPIF理事長)(C)時事

 

 140兆円を超す国民の年金資産を預かるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が組織改編を行い、10月1日から新体制に移行する。業務執行を担う理事会の上に「経営委員会」を新設、中期の運用方針や役職員の報酬といった重要事項を決める。これまで理事長に集中していた権限を、合議制の経営委員会に移し、GPIFのガバナンスを強化するのが狙いだ。これで、私たちの年金資産が守られる体制が出来上がるのだろうか。

労使代表からも委員

 厚生労働省は8月1日に経営委員会のメンバーを発表した。トップの委員長には元・日本銀行理事でメットライフ生命保険取締役代表執行役副会長の平野英治氏を任命した。平野氏は日銀で国際担当の理事を務めた後、トヨタファイナンシャルサービスで資金調達などを担当、国際金融界で顔が広い。

 平野委員長のほか、委員には、東京大学名誉教授の新井富雄氏、弁護士の岩村修二氏、京都大学大学院特定教授の加藤康之氏、連合総合生活開発研究所理事長の古賀伸明氏、公認会計士の小宮山榮氏、日立製作所取締役の中村豊明氏、アジア開発銀行研究所エコノミストの根本直子氏、野村総合研究所上席研究員の堀江貞之氏を選んだ。これに高橋則広理事長を加えた10人で構成する。

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