トランプ政権の行方が不透明だが、対中東政策では少し気になる動きがある。

"Exclusive: U.S. to withhold up to $290 million in Egypt aid," Reuters, August 23, 2017.

米国がエジプトの人権問題・民主化の滞りへの懸念を理由に、9570万ドルの援助要請を却下し、さらに1億9500万ドル相当の援助を延期しているという。

米国の中東への軍事・経済援助は長くエジプトとイスラエルに多くの部分を割いてきた。「アラブの春」以後、エジプトの地盤沈下が目立つが、それでも対エジプト政策が米中東政策の大きな柱であることに変わりはない。

2013年7月のクーデターで権力を掌握したスィースィー大統領に、トランプ大統領は基本的に好意的とみられてきた。それだけでなく、サウジアラビアのサルマーン国王とその子息のムハンマド皇太子と良好な関係を結び、サウジやUAEが主導するリビア、イエメンなどでの「独裁者復活」を目指す動きにも、トランプ大統領とその周辺は親和的に見える。

しかしトランプ大統領とその近い側近(そこも闘争や入れ替わりが激しいが)の考え方が、どのように米政府の中東政策として実施されるか(あるいはされないか)が注目の的である。

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